振動解析:代表的なモーター状態監視方法を解説

モーターの状態を監視する方法として振動解析ってあるね!

振動、電流、電圧解析があるけどその1つ振動解析の特長を解説するね!

この記事でわかること

  • モータ状態監視の必要性
  • モーター状態監視方法:振動解析の特長
目次

モーター状態監視の必要性

金属ワークを切削するマシニングセンタや、駆動軸に円筒刃物を取り付けて金属ワークを切断する切断機の場合、エンドミルや刃物を回転させるためにモーターやインバータなどが使われています
例えば、エンドミルが摩耗したり、円筒刃物が歯飛びすると加工面が荒くなったりNG品を生産してしまいます。そのため、エンドミルや円筒刃物を回転させているモーターの電流や電圧を解析したり、加工付近に振動センサを取り付けて振動を解析し、異常を検知することでNG品が生産されるのを防ぎます。通常、NG品は加工工程後の後工程で発見されることが多く、その場合、どのロットからNG品となっていたか確認する作業がかなり膨大になります。モーターの電流/電圧や振動データからモーターの状態を監視することで、NG品が生産されたことを工程内ですぐに発見することが必要なのです。

振動解析

振動解析の基本原理と仕組み

設備保全における振動解析は、機械や設備の健全性を監視し、潜在的な故障や異常を検出することができます。モーターの振動解析は、モーターや駆動装置が振動する際は、時間的に変化する加速度や速度、変位などの振動信号が生成されます。これらの信号を解析することで、モーターの状態を評価することができます。

振動解析に使用するセンサ

振動を計測する方法は主に「静電容量式」と「圧電式」があります。 静電容量式は固定電極と可動電極から構成され、振動が起きたときの可動電極の変位による電極間静電容量を検出することで、振動を測定しています。 圧電素子は圧迫されるときに発生する小さな電圧を利用して振動を測定します。加速度センサには圧電式が最も多用されていると言われています。
圧電式加速度センサの特徴は以下のようなものがあります。

  • 高感度: 圧電素子は、外部からの圧力や振動に対して非常に感度が高いです。微小な振動や加速度変化を検出し、小さな電荷を生成することができます。そのため、低周波から高周波まで幅広い振動を検出できます。
  • 広い帯域幅: 圧電式加速度センサは、広い帯域幅で動作することができます。高い応答性と帯域幅を持つため、高速で変化する振動や加速度も検出できます。
  • 幅広い温度範囲での動作: 圧電素子は広い温度範囲で動作することができ、高温環境や低温環境での使用に適しています。これにより、さまざまな環境での運用が可能です。

圧電式加速度センサの取り付け方法

  • 設置する位置を選ぶ
    振動センサは、振動を最も強く検出する位置に設置する必要があります。このためには、振動ソースからの距離や周囲の構造などを考慮する必要があります。
  • 固定方法を決定する
    振動センサは、固定する必要があります。振動センサによって異なりますが、一般的には、ネジやボルト、接着剤などを使用して対象物本体に固定することになります。
  • 接続方法を決定する
    振動センサは、データ収集システムや計測器などと接続する必要があります。接続方法は、振動センサの種類や利用するシステムに応じて異なりますが、一般的には有線で接続されるため、配線の敷設工事が必要となります。
    最近は配線工事が不要な無線式の振動センサもありますが、電池交換などの定期的なメンテナンスが必要になります。

これらの手順に従って設置することで、正確な振動データを収集することができます。

正常振動と異常振動の判定方法

振動の周波数解析(FFT)

まず圧電式センサで得られた振動データを周波数解析します。振動の周波数解析は、振動信号の主要な周波数成分を決定することを目的としています。これは、FFT (Fast Fourier Transform) やピーク検出などのアルゴリズムを使用して行われます。周波数解析の結果から、異常振動の起因となる原因を特定することができます。

判定方法1:絶対判定

振動解析においての判定は「絶対判定」と「相対判定」という2つの方法があります。
絶対判定は、振動値が規格や設計値を超えた場合に異常振動と判定する方法です。この方法は、振動値の上限や下限の閾値を明確に設定し、これを基準にして異常振動を判定することができます。

判定方法2:相対判定

相対判定は、相対的な振動値の変化を基準に異常振動を判定する方法です。この方法では、前回の振動値と現在の振動値を比較し、大きな変化があった場合に異常振動と判定します。

絶対判定と相対判定のどちらを選択するかは、振動解析の要件や目的によって異なります。たとえば、新しい設備やシステムでは絶対判定が適している場合がありますが、長期間にわたって運用されている設備やシステムでは相対判定が適している場合があります。正確な振動判定ができることが重要であり、適切な判定方法を選択することが重要です。

振動解析によって検知できる故障パターンの例

  • ベアリング異常
    ・ベアリング傷
  • 回転軸異常
    ・アンバランス
    ・ミスアライメント
    ・ロータ/ステータ異常
  • 負荷異常
    ・キャビテーション
    ・過負荷

振動解析のメリットと注意点

メリット

  1. 様々な幅広い故障を検知可能
    一般的に圧電式センサが高い周波数の振動を捉えることができ広い周波数に対応できるため、様々な故障を検知可能です。

注意点

  • センサの固定方法と設置位置・方向
    測定対象以外の周辺振動の影響を最小限にするため、剛性が高くなるような固定方法や設置位置・方向を選択します。
  • 周辺振動を除去するためのデータ処理
    周辺振動をセンサで拾ってしまうため、欲しいデータを取得するためにあらかじめ、周辺振動をノイズとして除去するようなデータ処理が必要です。
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この記事を書いた人

ただのサラリーマン | PLC | 画像 | ロボット | 製造業のノウハウを発信しています |

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