人的資本経営とは何か?ビジネスにおける重要性と成功事例

最近、会社で人的資本経営を耳にするけどよく分からない。。

これからあらゆる企業が避けては通れない考え方で、
マネジメント層だけでなく、我々従業員もしっかり抑えるべき経営のあり方だよ!

そうなんだ!人的資本経営は今までの経営とどう違うの?
あと、人的資本経営の中で、従業員はどんなスキルが必要なんだろう?

これから分かりやすく説明していくね!

この記事で分かること

  • 人的資本経営とは
  • 人的資本経営の成功例
  • 人的資本経営で従業員が求められるスキル
  • 人的資本経営を実現するためのアプローチ
  • 人的資本経営のメリット
  • 人的資本経営の課題
目次

人的資本経営とは

人的資本経営とは何か

人的資本経営とは、「人材を資本として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方」です。

うーん。。分かったようでよく分からない。。

人的資本経営とは
人の能力に具体的にフォーカスして、チームとして結果を出すために能力を組み合わせる
・人材はコストではなく、投資の対象
という考え方なんだ!

人的資本経営の成功例

人的資本経営を理解できるように人的資本経営の成功例を紹介します。
著書「マネー・ボール」で出てくるオークランド・アスレチックスと呼ばれる野球チームが人的資本経営を体現することで弱小チームから常勝チームへ成り上がった良い例です。

まず、本書では、従来の常識にとらわれず、データに基づいた客観的な判断を行うことを提唱しています。これは、人的資本経営においても重要な考え方であり、従業員の評価や採用において、主観的な判断ではなく、客観的なデータをもとにした判断を行うことが求められます。

また、選手の能力や経歴などに基づく従来のスカウトの方法よりも、選手の実績に基づいた分析を行うことが重要であると主張しています。同様に、人的資本経営においても、従業員の過去の経歴や資格などよりも、実績や成果に基づいた評価を行うことが求められます。

さらに、本書では、優秀な選手を発掘するためには、新しい視点やアプローチが必要であると主張しています。これは、人的資本経営においても同様であり、従業員の能力やスキルを最大限に引き出すためには、従来のやり方にとらわれず、新しいアプローチや視点が必要であると言えます。

以上のように、著書「マネー・ボール」は、野球の世界におけるデータ分析の手法を提唱しただけでなく、人的資本経営においても重要な考え方を提供していると言えます。

野球というボールゲームを徹底的にデータ分析して成功したんだね!

そうなんだ!今では当たり前になってきたけど当時は画期的だったんだ!

どう分析して、何が画期的だったの?

野球は相手より多く点を取れば勝ち。つまり、得点に貢献するには選手の実績として何を重視した方が良いかデータ分析したんだ!

打率やホームラン数が高かったら点数取れそうだけどな。。

直感的にはそう思ってしまうよね!
得点と選手データを分析することで、打率+出塁率+長打率が得点増に貢献する打撃をしている打者だと分かったんだ!
これが今は当たり前に使われているOPSという指標なんだ!このOPSという指標を打者の編成において最重要視することで相手より多く点を取れるようになったんだ!

なるほど!MVP、ホームラン王、首位打者を獲得!とかの華々しい経歴やタイトルよりも、多く得点を取ることにフォーカスしてデータ分析し、その結果から選手を集め育てていったんだね!

そういうこと!ただ、この戦略を生み出したビリー・ビーンは現場の監督では無いんだ!
ビリー・ビーンは現場のリーダが選手とコミュニケーションを多く取り、戦略を浸透させることが重要と考えていたんだ!

人材と直に接する現場のリーダの実績によって戦略が浸透していくって考え方なんだね!

そう!だから選手と直でコミュニケーションを取ることにこだわったんだ!
そうすることで、選手各々がビーンの戦略を理解し、才能を開花させていったんだ!

分かりやすく僕たちのビジネスに置き換えるとどうなるのかな?

人の能力に超具体的にフォーカスするということだよ!
「営業が得意」や「管理職の経験がある」、「人柄が良い」というふわっとした評価ではなく、
営業でも「アポイントを取るのが得意」や「分かりやすい資料を作れる」、「高確率でクロージングできる」とか具体的な能力にフォーカスするということ!

1つの商談においても、1人1人の能力を組み合わせればチームとして良い結果、つまり売り上げを増やすことができそうだね!

そう!これが人的資本経営の基本的な考え方なんだ!
優れた人材とは何か?チームの目的のために必要な人材とはどんな能力を備えた人なのか?
売上や利益という目的を達成するための能力が人的資本なんだ!人的資本を効果的に活用することが人的資本経営ということだね!

人的資本経営がなぜ注目されるようになったのか

日本において人的資本経営が注目されるようになった背景には、企業のグローバル化や人口減少による人材不足などがあります。こうした状況下で、企業が従業員の能力やスキルを最大限に引き出すことが重要視されるようになり、人的資本経営が注目されるようになりました。

また、近年の調査結果でも、人的資本経営に取り組んでいる企業が業績向上につながっていることが示されています。例えば、経済産業省が行った「人材育成のあり方に関する調査」によると、人的資本経営に取り組む企業は、取り組んでいない企業に比べて売上高や利益率が高い傾向があるという結果が出ています。

さらに、人的資本経営を導入した企業では、従業員のモチベーションや働きやすさが向上し、離職率が低下するなど、従業員の定着率も高くなる傾向があります。これは、企業にとっても従業員にとってもプラスの効果を生むため、人的資本経営が注目されるようになった一因と言えます。

以上のように、日本でも人的資本経営が注目されるようになった背景には、企業のグローバル化や人材不足などの課題がある一方で、人的資本経営に取り組むことで業績向上や従業員定着率の向上などのメリットがあることが示されています。

従来経営の問題と人的資本経営でどう変わるか

まず、従来経営と人的資本経営の違いは、人材に対して「資源」「資本」という捉え方の違いです。
従来経営では、従業員は単なるコスト、労働力として扱われる傾向がありました。
人的資本経営では、従業員を資産として捉え、その能力やスキルを最大限に引き出すことを目指します。

では、なぜ従業員をコストとして考えられなくなったか、その問題についてです。
これまでは、新卒一括採用で得た優秀そうな人材を確保し、自社の仕組みの中で機能するように育成していき売上や利益を上げていました。その方が、コスパも良く組織として安定して稼げるからです。
しかし、今、ビジネスの環境が変わり従業員を終身雇用する余裕を失っています。一方で、労働市場は流動化が進んでいます。転職やキャリアチェンジが一般化し、今では就社を考える新卒学生は1人もいない状況です。
そうなると新卒一括採用の体制に綻びが生じます。ひとまず採用計画どおりに新卒を採用できたとしても以前と違い次第に人が辞めてしまいます。そうなると中途採用による欠員の補充が必要となり、中途採用にはお金も手間もかかってしまいます。新卒が残っていれば不要だったコストです。辞めるまで新卒を育てたお金と手間が無駄になってしまいます。大手企業の新卒社員には能力や実績に比例して高い給与が支払われますが、それは長期雇用を前提に後々回収していくはずのコストです。途中で退職されてしまうと払ったコストが回収しきれずコスパが良かったはずの新卒一括採用が途端に割に合わなくなります。そして、中途社員にはなるべく育成のコストをかけたくないです。放っておいても欠員の穴埋めができる即戦力が欲しい。しかも予算の範囲内でと考えます。当座の人数が必要なのであればよりコスパの良い派遣社員や契約社員を活用する手もあります。実際多くの日本企業がその手を使ってきました。
以上のように、従来経営では人材を「人的資源」「コスト」として考えていたこと、そして、その問題が分かります。

また、以下は従来経営と人的資本経営をあらゆる観点から比較した図表です。

※経済産業省『人的資本経営の実現に向けた検討会報告書 人材版伊藤レポート2.0』を加工して作成
https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinteki_shihon/pdf/report2.0.pdf

人的資本経営において従業員が求められるスキル

人的資本経営で従業員が求めらるスキル

  1. 技術スキル
    従業員が自分の仕事を遂行するために必要な技術的なスキルが求められます。例えば、IT技術や特定の産業に特化した技術などが挙げられます。
  2. コミュニケーションスキル
    従業員が他の従業員や顧客と良好なコミュニケーションをとることができる能力が求められます。コミュニケーションスキルには、説明力、対人関係能力、聴取力、説得力などが含まれます。
  3. 問題解決能力
    従業員が問題に対して的確な判断を下し、解決策を見つけ出すことができる能力が求められます。問題解決能力には、分析力、判断力、創造力、決断力などが含まれます。
  4. 学習能力
    企業が変化し続ける現代社会において、従業員が新しいスキルや知識を習得し続けることが求められます。そのため、学習能力が重視されます。
  5. リーダーシップ能力
    従業員が、他の従業員をリードすることができる能力が求められる場合もあります。リーダーシップ能力には、計画力、決断力、コミュニケーションスキル、チームビルディング能力などが含まれます。

これらのスキルは、企業が変化に適応し、成長するために必要不可欠なものです。従業員がこれらのスキルを持ち、活かせる環境を整備することで、企業がより高い競争力を持ち、長期的な成長を実現することができます。

人的資本経営のメリット

人的資本経営がもたらすメリットは、従業員のモチベーション向上や定着率の向上、生産性や効率の向上、イノベーション力の強化などを挙げられます。

人的資本経営のメリット

  1. 生産性の向上
    従業員の能力やスキルを引き出すことで、業務の効率化や品質の向上を図ることができます。これにより、生産性が向上し、企業の業績につながります。
  2. 従業員のモチベーション向上
    従業員が仕事にやりがいを感じ、モチベーションを維持することができるような環境を整備することができます。それにより、従業員の離職率の低下や採用コストの削減につながるとともに、企業のブランド価値の向上にもつながります。
  3. 組織の強化
    従業員の育成やモチベーション向上を通じて、組織全体の強化につながります。また、組織内のコミュニケーションやコラボレーションが活発化することで、イノベーションや新しいビジネスモデルの発見など、企業の成長につながる可能性があります。
  4. リスク管理
    従業員の育成や教育を行うことで、従業員の能力やスキルの多様化が進みます。これにより、企業が特定の人材に依存することがなくなり、リスクを分散することができます。
  5. 社会的評価の向上
    企業が社員を大切にし、働きやすい環境を整備することは、社会的にも高い評価を得ることができます。これにより、企業の社会的責任を果たし、消費者や投資家からの信頼を得ることができます。

以上のように、人的資本経営は企業の成長や発展につながる様々なメリットがあります。

人的資本経営を実現するためのアプローチ

人的資本経営を実現するためには、以下の5つのアプローチが必要と考えています。

人的資本経営を実現するためのアプローチ

  1. ビジョンと価値観を共有する
    人的資本経営を実現するためには、組織全体が共有するビジョンと価値観が必要です。そのため、まずはビジョンや価値観を明確にし、それを従業員に浸透させることが必要です。
  2. 従業員のモチベーション向上
    従業員が仕事にやりがいを感じ、モチベーションを維持することが重要です。そのためには、仕事のやりがいや意義の明確化、フィードバックの提供などが必要です。
  3. 従業員のスキルアップのための教育プログラムを提供する
    人的資本経営を実現するためには、従業員のスキルアップが必要不可欠です。そのため、組織が教育プログラムを提供することで、従業員のスキルアップを支援することが重要です。
  4. 評価制度を見直す
    従業員の能力やスキルを最大限に引き出すためには、評価制度を見直すことが必要です。適切な評価基準を設定し、従業員の能力やスキルに応じた報酬や昇進の機会を提供することで、従業員のモチベーションを高めることができます。
  5. コミュニケーションを重視する
    従業員が組織のビジョンや価値観を共有し、自己実現や成長を感じられる環境を作るためには、コミュニケーションが欠かせません。現場のリーダーが従業員とコミュニケーションを密にし、従業員の声を聞きながら組織の方向性を調整することが必要です。

以上のようなアプローチを取り入れることで、人的資本経営を実現することができます。

人的資本経営の課題

  1. 従業員の能力やスキルの定量的な評価の難しさ
    人的資本経営では、従業員の能力やスキルを最大限に引き出すことが重要ですが、そのためには従業員の能力やスキルを正確に評価する必要があります。しかし、従業員の能力やスキルは定量的に評価することが難しく、主観的な評価が入り込んでしまうことがあります。
  2. 人的資本の有効活用の難しさ
    企業が人的資本を有効に活用するためには、従業員が自らの能力やスキルを発揮できる環境を整備する必要があります。しかし、実際には組織や文化によっては、従業員の能力やスキルを活かすことができない場合があります。
  3. スキルのアップデート
    技術革新により、従業員の役割やスキルが変化することが予想されます。そのため、企業は従業員のスキルアップに積極的に取り組むことが求められます。また、従業員が自己啓発や自己研鑽を積極的に行う風土を育むことが重要です。
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この記事を書いた人

ただのサラリーマン | PLC | 画像 | ロボット | 製造業のノウハウを発信しています |

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